こんにちは。
今回は匿名性に重点を置いた「Zcash(ジーキャッシュ)」についてご紹介いたします。
この記事ではZcashの特徴、特にゼロ知識証明についてイメージしやすくなるように解説してみました。
Zcash(ジーキャッシュ)とは?
2013年に発足した「Zerocoinプロジェクト」を基に、あらたに2016年に誕生したのがZcashとなります。開発・運営しているのはZcash CompanyでCEOはZooko Wilcoxという人物です。
2018年3月の時価総額ランキングは25位で、通貨単位はZECとなります。
Zcashはビットコインにない「匿名性」を補うために作り出されました。そのため、匿名性の点以外はビットコインと似たような作りとなっています。(コンセンサスアルゴリズム、発行上限、半減期など)
ご存知かと思いますが、ビットコインの送金については、だれがだれに(どのアドレスがどのアドレスに)どれだけ送ったかというのが全てわかるようになっています。
興味のある方はこのサイト(https://blockchain.info/ja)をご覧になってください。直近の取引内容が全て確認できるかと思います。
Zcashではゼロ知識証明という技術を利用することで、取引を公開せずとも高い匿名性を備えることができるようになりました。
ゼロ知識証明
Zcashの最も大きな特徴はゼロ知識証明というものです。
zk-SNARKプロトコルというものによって実現されるのですが、秘密の情報を持っているけれど、その内容を知らせずに、正しい秘密の情報を持っている事を相手に証明するための方法です。
ゼロ知識証明をイメージするために
ここで、AさんとBさんがいるとします。Aさんは秘密の呪文を知っていて、Bさんに秘密の呪文を知っていることを証明したいけど、秘密の呪文そのものは教えたくないと思っています。
そして、ここには一本の筒があります。筒の中には仕切りがある時とない時があり、それは外から見ただけではわからない不思議な筒です。
その仕切は秘密の呪文を唱えることで開く事ができます。例えばネズミを筒の中に入れて、出口に餌でもおいてみましょう。Aさんが秘密の呪文を唱えてみました。(Bさんには聞こえないように小さな声で)
すると、ネズミが餌のおいてある出口から出てきました。ここで重要なのは、もしかすると、筒のなかにはじめから仕切りがない可能性もあるということです。
じゃあ「Aさんは正しい秘密の呪文を知らないんじゃないか?」と言う意見が出てくると思います。仕切りがなければ呪文が正しかろうが間違っていようがネズミは出口に行くことができますからね。しかし、この試行を何度も繰り返したらどうでしょうか?
仕切りがあって、しかもAさんが秘密の呪文を知らない場合には、ネズミは出口から出てくることはありません。ですので、この試行を何度も繰り返すことで、「Aさんは正しい秘密の呪文を知っている」ということを限りなく高い確率で証明することができるのです。
Zcashの暗号鍵には原理的にはこのような技術が利用されています。
上記の説明はわかりやすさを重視しましたので、正確ではないかもしれません。詳しい説明についてもし興味がある方はwikipediaで見ることができる「洞窟の問題」の説明が参考になるかと思います。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E7%9F%A5%E8%AD%98%E8%A8%BC%E6%98%8E)
JPモルガンとの提携
2017年5月21日大手銀行のJPモルガンがZcashのゼロ知識証明を利用すると発表し、イーサリアムを利用したQuorumブロックチェーンに組み込まれることとなりました。
相当の期待が寄せられていると言ってもいいのではないでしょうか。
モネロ(Monero)との違い
匿名性の高さではモネロがよく引き合いに出されますが、どのような点が違うのでしょうか。
モネロで利用されている技術は「リング署名」というものになります。
この技術では、複数の送金者候補のグループを利用して送金するので、実際にだれが送ったかどうかは分かりづらくなっています。
しかし、確実とは言えません。例えば、いくらリング署名でもアドレスの送り先の候補はわかってしまいますし、送る金額についても調べることが可能です。
しかし、Zcashならばそのような情報についても匿名のまま送金することが可能です。匿名性という点ではZcashのほうが優れていると言えるかもしれません。
その分送金速度などはモネロのほうが優れているようで、各通貨ごとに一長一短がありそうですね。
Zcash(ジーキャッシュ)のデメリット
ここではZcashのデメリットについてご紹介したいと思います。
犯罪に使われる可能性
デメリットとしては、犯罪に使われる可能性が挙げられます。
やはり匿名性の高い通貨の宿命となりますが、犯罪に悪用される可能性は高いです。
実際にダークネットマーケット(銃器、薬物、盗難データなど非合法のものを売り買いするインターネット上のマーケット)のAlphaBay(現在停止中)でも商品の売り買いにZcashが採用されていました。
政府当局の規制
また、犯罪に悪用されるということは、政府当局も規制する可能性が高いということです。
ビットコインなどはある程度その足跡をたどることができますが、完全に足跡を追うことができず、さらに犯罪に使われている可能性があるとすると、政府はコレを放置しておくことは流石にできないでしょう。
規制が入れば、Zcashを売りに出す人が多くなり、Zcashそのものの価値が下がってしまう可能性は大いにあります。
Zcash(ジーキャッシュ)の値動き
2016年10月28日に公開されたZcashですが、公開直後約4300ドルという高値がつきました。
しかし、この後ものすごい勢いで値下がりしてしまいます。12月末には50ドル台まで値下がりしてしまいました。
投機目的で購入した人々が公開直後に一気に売り払ったために、このような急激な値下がりが起こったと考えられます。完全に投機目的に利用されてしまったわけですね。
その後は2017年半ばに100ドル台となり、じわじわ時間をかけて2018年1月には500ドル台まで値上がりしました。2017年5月にはJPモルガンがZcashのゼロ知識証明技術を採用することを発表したので、それがひとつの原因と考えられます。
そして徐々に値下がりし、2018年3月現在は200ドル台を前後しています。
Zcash(ジーキャッシュ)を購入するなら?
日本でZcashを取り扱っている取引所はコインチェック(Coincheck)となります。
1月末のNEM盗難事件後、現時点でも完全に営業開始しているわけではありませんが、Zcash以外の通貨については徐々に取引を開始しています。
しかし、もしかするとZcashなどの匿名通貨については取引が再開されない可能性があります。NEMコインの流出事件後、金融庁からの指導が入っているからです。
そもそも「Zcashなどの取扱があったため、金融庁からの認可が降りなかったのではないか?」という噂も存在するくらいです。
Coincheckは不安だから国外取引所で購入したいという方は、バイナンス(Binance)、Poloniex、Bittrexなど複数の選択肢があるので、そちらを利用しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
犯罪に使われる可能性、規制のリスクなどデメリットもありますが、ゼロ知識証明などの技術には高い将来性があり、具体的には顧客の個人情報保護などに使われると考えられます。
仮想通貨の可能性の一つとして今後が期待できるでしょう。
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